社長・社外取締役 対談

社外取締役藤岡 圭

新たな社外取締役を迎える背景と期待

二之夕 : 当社は今年度より、新たに女性の社外取締役を迎えました。宮間さんは、大日本印刷株式会社(以下、DNP)の開発部門で活躍されながら、販売促進に携わった経歴をお持ちで、技術開発を起点とした考え方で製品開発を進める当社に一番足りていない、お客さまに商品を売る知見が豊富です。加えて、人財開発やダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進に注力されていることも踏まえて就任いただきました。

宮間 : 私自身、DNPで取締役に就任して間もない頃にお声がけいただき青天の霹靂でしたが、大変ありがたい話でした。技術者としての実績以外にも、管理業務や人財育成など幅広い業務に携わってきたので、それらの経験を還元していきたいですね。

二之夕 : 女性として管理職を務めるやりがいも苦労も経験している貴重な人財でもあります。役員、部長はじめ役職者に女性がいないことも当社の課題ですから、社内に向けた女性活躍への明確な意思表示となる点も、宮間さんを選任した理由の一つです。

取締役会の実効性向上に向けて

二之夕 : 2021年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードの重要なポイントの一つが取締役会の機能の発揮です。これを踏まえて取締役会のあり方を見直し、よりオープンでフランクな、双方向での意見交換の場へとシフトチェンジしたことが、実効性の向上につながっていると感じます。

宮間 : 社外取締役に就任した際にご説明いただいた「取締役会のあるべき姿」には、新たに加わる身として感銘を受けました。期待される役割は幅広く、高いレベルが求められますが、東海理化の経営を支えるパートナーとして手綱を締める想いです。

二之夕 : 非常に嬉しいお言葉ですね。今年度から社外取締役が全体の半数になり、異業界の方も増えましたから、緻密な情報共有は必要不可欠です。私は、企業同士の独立性が強ければ、情報開示についてデリケートになり過ぎる必要はないと思っています。より有意義な議論を交わすためにも、当社のビジョンや製品別シナリオ、それらの背景を確実に理解していただいたうえで、取締役会に臨んでいただく方が重要ではないでしょうか。

宮間 : その通りだと思います。社外の人間は限られた情報の中で判断する必要があるため、取締役会に先立ち多岐に渡る情報を提供していただけると、意見の幅が広がり、議論の質も向上します。

二之夕 : 私たちはトヨタグループの一員として仕事をしてきたので、時に視野が狭くなりがちです。一方で社外の方は、多様な経験から私たちにはない視点をお持ちなので、第三者目線での建設的な意見は最も期待している部分です。

宮間 : 東海理化に染まっていない人間だからこそ、中立的な立場で率直な意見を述べることが可能ですからね。その意味では、取締役会以外でも自由闊達に議論できる機会を設けることで、大小関わらず幅広い意見が出やすいかもしれません。
 またサステナビリティ経営の観点で言うと、事業の専門領域外であっても、事業活動の先に関係する気候変動や人権問題といった諸課題も対象に含まれる時代です。より広範囲なステークホルダーへの理解と配慮が求められる中で、取締役会に多様なメンバーを揃えることは大きなメリットになり得ますし、致命的な問題の未然防止にもつながります。実効性の向上に貢献できるよう、さまざまな点から尽力していこうと考えています。

変革の時代に、東海理化がめざすべき姿

宮間 : 東海理化の第一印象は、真面目に取り組み、お客さまの要望に対して一生懸命応えていく企業であること。これは、そのまま企業の強みです。創業者の言葉「人が手掛けないことこそやる」やそれをもとに作られた考動宣言「東海理化イズム」に代表される、チャレンジ精神を大切にした企業姿勢によるものだと感じます。

二之夕 : おっしゃる通りです。創業者や先人たちの精神が集約された「東海理化イズム」は、全従業員が仕事をするうえで最も大切にしている価値観ですね。

宮間 : 一方で、大変革期に直面する自動車業界で生き残るためには、良き伝統は残しつつ、思い切った変化も必要です。まずは、一人ひとりが主体的に会社のめざすべき姿を描き、周りを巻き込んで会社を変えていく意識を持つべきです。さらに、これまで以上に外の世界にアンテナを張って、お客さまの先にいる生活者目線での開発を進めていくこと。それが、社会から必要とされる企業へ変革していく第一歩になるはずです。

二之夕 : 開発から販売まで一貫して携わってきた、宮間さんならではの視点ですね。今年は初めての中期経営計画も策定し、将来に向けた方向性・成長戦略を社内外のステークホルダーに提示した重要なタイミングでもあります。今後の戦略について、ご意見はありますか。

宮間 : 東海理化の素晴らしい点に、地域とのつながりや貢献が上げられます。地域の方々との積極的な意見交換から双方向の関係性を築き、ともに発展していくケースモデルが生まれれば、サステナビリティ経営の点においても成功事例につながる可能性が期待できます。

二之夕 : 私たちがこの場所でビジネスに注力できているのも、地域の理解があってこそ。いかに地域貢献できるかはこれまでも課題でした。お互いのニーズをすり合わせて、信頼関係をより強固にしていく中で、地元の方々に寄り添った新たな施策を生み出していくことができれば、好循環が生まれていきそうですね。

宮間 : D&I推進の女性活躍についても同様に、意識改革が肝となります。すでにトップによる意思表示をされ、制度も整ってきています。女性従業員の皆さんがより高い視点で仕事と向き合う意識を持てば、行動や姿勢も変わり、管理職として活躍したいと考える方も自然と増えていくはず。意識づけやしくみづくりといった人財開発の部分は、精一杯お手伝いしたいと思っています。

二之夕 : そうですね。まずは皆が自分事として捉えることが第一歩だと思います。宮間さんには女性従業員のロールモデルとなってもらって、彼女たちが自ら壁を乗り越えていける雰囲気を醸成する役割も期待していますよ。

宮間 : 人財の成長にとって、仕事で成果を出すことも大事ですが、感謝を伝え合う、人間性を認め合うなど、人として評価されることも重要です。この両輪があるからこそ、皆がんばれますし、成長が促進されます。女性に限らず、人財開発を推進していく上では一個人の尊重も忘れてはなりません。この姿勢がD&I推進の鍵となりますし、会社の成長にも直結していきます。それらの積み重ねによって近い将来、東海理化はモビリティ社会になくてはならない存在になるはずです。ステークホルダーの皆さまには、今後の東海理化を楽しみに見守っていてほしいですね。

二之夕 : 加えて、当社のさらなる成長には、長年支え続けてくださるステークホルダーの皆さまのご支援が欠かせません。皆さまが築いてきた会社を守り抜く覚悟で、未来に向けた挑戦を続けていきますので、引き続き応援をよろしくお願いいたします。

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