脱炭素社会の構築

 世界的に脱炭素化の動きが加速する中、東海理化グループでは、グローバル企業の責任として取り組みを一層強化し、製品での低CO2材料の採用や新材料開発、生産・輸送で使用するエネルギーの利用効率化など、CO2低減の活動に取り組んでいます。

製品における低CO2設計推進

 化石資源プラスチックの代替化や、低CO2材利用の拡大、搭載車両の燃費改善に貢献する軽量化・小型化など、製品における低CO2設計の推進を進めています。

製品のCO₂の軽減

シフトバイワイヤシフターの材料変更

 シフトバイワイヤシフターの構成部品であるブラケットに採用している材料を、材料製造時に排出されるCO2が低い樹脂材料へ変更しました。これにより従来製品よりCO2排出量を51%低減しました。また、製品重量の低減にも貢献しています。

オリジナル材料「Bamboo+」の開発

竹-プラスチックコンポジット材の開発

 関連会社の株式会社ミロクテクノウッド(高知県南国市)と高知県との共同開発で、オリジナル工法により竹と熱可塑性プラスチックを複合させた、新材料を開発しました。今回開発したこの新材料は、化石資源由来のプラスチックに比べてCO2発生量を減少させることでカーボンニュートラルに寄与するとともに、原材料に竹林整備で伐採された竹を使用することで、事業活動を通じて森林環境保全にも貢献することができます。

エネルギーCO₂

エネルギーCO2排出量の低減

エネルギーの見える化

 東海理化では、生産設備・ラインごとのエネルギー使用量を常時監視する「エネルギー見える化システム」の導入を進めています。各生産ラインの管理者がリアルタイムでエネルギー使用量を確認し、異常な使用があった際の即時対応や、日々の使用量分析によるムダの洗い出しに活用しています。また、今後は生産管理のシステムとも連動し、製品1個当たりのエネルギー使用量を把握することで、LCAの精度向上にもつなげていく予定です。2022年度の本社工場導入に続け、他工場についても2024年度までに完了する計画で進めています。

エネルギーCO₂排出量の低減 エネルギーCO₂排出量(グローバル連結)

工場CO2排出量の低減

 成形、鋳造、半導体、メッキ、熱処理などの工程ごとにワー キンググループを組織し、生産設備の徹底的な省エネを進めています。
2022年度に実施した改善事例636件の中で、応用性や着眼点が特に優れたものは、社内表彰を行い、従業員の意識向上を図るとともに、他工場へ水平展開しています。

油圧式装置の区画分けによる空調稼働台数の低減

 油圧式スレッド装置では、動作精度を保つため油温を管理する必要があり、建屋の空調機によって室温を調整していましたが、装置の周囲にビニル間仕切りを設置し、最寄りの空調機1台の運転制御を個別化することで、空調機の稼働台数を4台分低減しました。この改善によって、CO2排出量を年間19.4t-CO2削減しました。

油圧式装置の区画分けによる空調稼働台数の低減
プレス機のからくり機構

からくり改善による無動力化の推進

 からくりによる自動化は、作業性の改善だけでなく電力使用を廃止でき、CO2低減にも貢献できます。
 プレス工程では、クランク軸によるからくりによって、モーターの回転運動をシリンダの往復運動に変換し、スクラップ排出に使用する圧縮エアを生成しています。この改善によって、工場エアの供給を廃止でき、CO2排出量を年間2.85t-CO2削減しました。

再生可能エネルギー利用

 太陽光発電の導入拡大をグループ全体で計画的に進めています。2022年度は、豊田工場や海外の8拠点に、3,700kWの太陽光発電を導入しました。また、工場敷地外では、オフサイトPPA※により、長野県と大阪府の2カ所に当社専用の太陽光発電所が建設され、パネル出力で3,400kWの電力供給を受けています。これにより、2022年度の再エネ率は8.8%まで向上しました。

※ PPA 事業者が需要家の敷地外に太陽光発電設備を設置し、需要家がその電気を買い取る方法

グラウンド跡地に建設されたオフサイト発電所(長野) [再生可能エネルギー使用率の推移]

仕入先さまとの再生可能エネルギー共同調達

再生可能エネルギー利用  東海理化協力会に加盟する12社、中部電力ミライズ株式会社と、サプライチェーンの脱炭素化を目的とした「オフサイトPPAサービス実施に向けた協定」を2022年11月に締結いたしました。これにより、愛知県内の物流倉庫の屋上に新設される太陽光発電所(パネル出力:約5,800kWを予定)の余剰電力を参加企業各社で受けることができます。物流倉庫の広大な屋根スペースに設置された太陽光発電所に由来する再生可能エネルギーの電気を共同で調達することで、サプライチェーンが一体となって脱炭素化を推進するとともに、再生可能エネルギーの新規追加性にも貢献します。(2023年度より稼働)

<参画企業>神星工機株式会社、サワダ工業株式会社、稲熊プレス工業株式会社、株式会社遠州、株式会社カワベ、MARUEI株式会社、株式会社プラセス、白藤工業株式会社、株式会社エヌビーシー、遠州樹脂工業株式会社、株式会社フコク東海、株式会社八幡製鋲所

カーボンニュートラル都市ガスの利用

カーボンニュートラル都市ガス

 本社・本社工場では、2021年度より東邦ガスの「カーボンニュートラル都市ガス」の供給を受けています。天然ガスを採取する工程で発生するCO2を、世界各地の環境保全プロジェクト等におけるCO2を削減することで、CO2が発生しないとするカーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)を活用した都市ガスです。
 22年度の都市ガス使用量は1,137,111㎥であり、その全量がカーボンニュートラル都市ガスであることがソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社によって証明されています。

温室効果ガスの低減

 エネルギー使用に伴うCO2だけでなく、温室効果ガス※についても、代替化による使用量の低減や除害化により、排出抑制に取り組んでいます。 温室効果ガス排出量(グローバル連結)

マグネシウム鋳造工程におけるSF6の代替化

Mg鋳造設備

 マグネシウム鋳造工程では、溶解したマグネシウムが空気に触れて発火することを防ぐ防燃ガスにSF6※を使用しているため、温室効果の小さい代替ガスへの切替えを進めています。国内拠点の代替化は完了し、海外拠点の代替化を2030年完了の計画で進めています。

※SF6の地球温暖化係数は、CO2を基準として22,800倍と大きく、排出抑制対象である温室効果ガスの1つに指定されています。

輸送CO2の低減

 収容効率や積載率の向上につながる荷姿改善、効率的な輸送ルートへの見直しなど、輸送工程におけるCO2排出量の低減に取り組んでいます。 物流活動のCO₂排出量と原単位の推移

物流トラックにハイブリッド車を導入

ハイブリッドトラック  CN実現に向けた物流戦略の1つとして、2030年までに、所有する物流トラックの50%をHV車などの環境対応車へ切り替えていきます。現在2台のHVトラックを導入しており、物流トラックとして利用している。

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