TCFD・TNFD開示推奨項目の対応状況

気候変動への対応をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に基づいて抽出したリスクと機会に対して、対応の方針・計画を策定することで、リスクの低減および機会の拡大を確実に行っていきます。

ガバナンス

当社は、環境取り組みの中期戦略である「カーボンニュートラル戦略2030」、短期(2021~2025年)の計画として「第7次環境取り組みプラン」を策定・公表し、グループ全体で達成に向けた活動を推進しています。この活動を確実且つスピード感をもって進めていくため、環境委員会を組織し、コーポレート・ガバナンス体制により、取締役会、経営会議との役割・関係を明確にして、PDCAサイクルに沿って実行しています。

開示推奨項目 TCFD TNFD 関連情報リンク
リスクと機会に対する取締役会の監督体制 取締役会は、カーボンニュートラル中期戦略の進捗状況について、定期的に報告を受け、レビューを実施しています。戦略実行のための予算については、年度ごとに包括決議を行い、年間の計画に対する判断・監督をしており、高額投資案件に対しては、個別に報告を受け決議を行っています。 東海理化HP_コーポレート・ガバナンス
<https://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/governance/corporate/>
リスクと機会の評価と管理における経営者の役割 取締役社長を委員長とする全社環境委員会にて、リスクおよび機会に対する対応方針となるカーボンニュートラル戦略の決定と目標・実行計画の承認、計画に対する進捗管理とレビューを行っています。
先住民、地域社会に敬意を払い、他のステークホルダーに対して人権政策や関与活動、監督がどのように行われているか

【TNFD推奨開示項目】
「東海理化グループ人権方針」を策定し、「国際人権章典」、「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」などの国際的に認められた人権に関する考え方を尊重し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、人権尊重の取り組みを推進していくことを表明している。ステークホルダーに対しては、情報開示により方針への理解・支持を期待するとともに、人権への負の影響について積極的に対話を行い、自社の活動へのフィードバックを行っていく

東海理化グループ人権方針
<https://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/society/human-rights/pdf/policy.pdf>

戦略

気候変動に対しては、移行リスク、物理リスクがそれぞれ最大となる2種類のシナリオを設定し、シナリオ分析によりリスクと機会を抽出しています。リスクに対しては、レジリエンスを強化するための取り組みを環境委員会にて検討し、中期計画に折り込むことで、確実かつ計画的に対応を進めていきます。これにより各シナリオで想定する社会において、東海理化の事業活動は適応できると考えています。

1.5°Cシナリオ

地球温暖化の抑止が社会基盤となり、温室効果ガス・再生可能エネルギー関連の政策や、技術革新・インフラ整備により脱炭素化が加速し、気温上昇を1.5°C以内に抑えることが実現している社会。気温上昇による物理リスクは低減されるが、規制強化やステークホルダーからのニーズの変化など、社会変化に対する対応が求められるため、移行リスクが最大となるシナリオとして設定しています。

4°Cシナリオ

地球温暖化を食い止めることができず、気温が4°C上昇してしまった社会。気温の上昇に伴う気候変動により、集中豪雨・台風の発生回数増加など自然災害による急性リスク増加や、降雨パターン変化による水不足などの慢性リスクが発生し、物理リスクが最大となるシナリオとして設定しています。

リスクおよび機会(気候変動関連)
種類 短期・中期・長期のリスクと機会 事業・戦略・
財務に及ぼす影響
区分 説明 時間軸 可能性 影響額
移行
(1.5°C)
規制 リスク 炭素税の導入による操業費用の増加 中期 10億円
機会 温室効果ガスの低減によるコスト低減(炭素税、電力料金など) 中期 15億円
評判 リスク 脱炭素化をめざさないことによる、お客さまからの取引解消 長期 200億円
機会 カーボンニュートラル対応の情報開示による資金調達の安定化 長期
技術 リスク 低炭素化へ向けた材料変更による、材料コストの増加 長期 50億円
機会 低CO2製品開発による受注拡大 長期 10億円
物理
(4°C)
急性 リスク 自然災害の激甚化による工場操業停止、サプライチェーン分断による売上減少 長期 100億円
慢性 リスク 平均気温の上昇による空調コストの増加 長期 1億円
リスク 降水量の変化による水供給不足 長期 30億円
レジリエンス強化の取組
リスク レジリエンス強化の取組
炭素税の導入による操業費用の増加
  • 省エネの徹底、温室効果ガスの代替化による工場CO2排出量の低減
  • 再エネの導入拡大による、再エネ率向上
  • 物流効率改善、FCV導入による輸送CO2排出量低減
脱炭素化を目指さないことによる、お客さまからの取引解消
  • 中長期戦略の策定と開示
  • 仕入先との連携強化
低炭素化へ向けた材料変更による、材料コストの増加 低CO2材料の開発
自然災害の激甚化による工場操業停止、サプライチェーン分断による売上減少 事業継続計画(BCP)の策定
平均気温の上昇による空調コストの増加 空調設備のトップランナー設備への更新
降水量の変化による水供給不足 製造工程の水再利用により取水量抑制
リスクおよび機会(自然関連)
種類 短期・中期・長期のリスクと機会 事業・戦略・
財務に及ぼす影響
区分 説明 時間軸 可能性 影響額
移行 規制 リスク 河川放流水の水質規制強化により、放流できなくなることによる工場操業停止 長期 30億円
評判 機会 生物多様性保全活動の積極的な取り組みによる、ステークホルダーからの評価向上 中期
機会 自然・生物多様性保全対応の情報開示による資金調達の安定化 長期
技術 機会 生物多様性保全に貢献する製品開発による受注拡大 中期 1億円
物理 急性 リスク 自然環境の喪失により、自然資源が使用できなくなることによる製品製造停止 長期 10億円

※時間軸は、短期を5年未満、中期を5~10年未満、長期を10年以上としています。

リスク管理

NZEシナリオ(IEA WEO2023)、RCP85(IPPA AR6)、Aqueduct Water Risk Atlas(WRI)などのシナリオを参考に影響分析を行い、リスクと機会を抽出しています。

開示推奨項目 TCFD TNFD 関連情報リンク
リスクと機会の特定・
評価プロセス
IEA(国際エネルギー機関) Net Zero by 2050やIPCC(気候変動に関する政府間パネル) RCPなどの気候変動シナリオを参考に分析を行い、リスクの特定・影響評価を行っている。影響評価は金額での定量化につとめ、財務に対する影響の把握を行っている

東海理化HP_マテリアリティの特定
<https://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/materiality/formulation/>

リスクと機会の管理プロセス 特定したリスクと機会に対しては、具体的な対応と目標を環境取り組みの中期計画・単年度計画に折り込み、進捗管理を行っている。また、リスクと機会は、最新のシナリオ・社会動向により定期的に評価の見直しを行い、評価精度の向上を図ることとしている
組織全体のリスク管理への
統合・伝達状況
組織全体のマテリアリティ分析では、社会の土台である自然環境の保全を分析項目として取り上げ、その中から「気候変動への対応」と「生物多様性の保全」を重要課題として特定している。課題に対する対応は、センター方針・各部方針の上位となる、サステナビリティ方針およびカーボンニュートラル方針に折り込み、リスク対応に対する管理を行っている

指標と目標

中期戦略「カーボンニュートラル戦略2030」、短期計画「第7次環境取り組みプラン」では、各取り組み項目ごとに活動の指標と目標をバックキャスティングで設定し、目標に対する活動の進捗を環境委員会で確認・フォローすることで、計画的な実行を行っています。

開示推奨項目 TCFD TNFD 関連情報リンク
リスクと機会の評価・
管理に用いる指標
リスクと機会による影響度は、財務に与える影響額を指標とし、算出した影響額により対応の優先順位付けを行っている。リスクと機会に対する対応については、取り組み毎に指標を設け進捗管理を行っている
【気候変動関連】

脱炭素化:工場CO2排出量(t-CO2)、輸送CO2排出量(t-CO2)
再生可能エネルギー導入拡大:電力使用量に対する再エネの割合(%)
渇水影響低減:水の取水量(㎥)

【自然関連】

河川の水質影響:河川放流水の水質(法規制値より上乗せした自主基準値を設定)
生物多様性保全:活動毎に設定(対象外来種の生息面積、指標種の観測個体数)

東海理化HP_環境活動情報
<https://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/environment/policy/>

依存関係と自然への影響の
評価・管理に用いる指標
【TNFD推奨開示項目】
自然資源の利用

:水の取水量(㎥)

海洋汚染への影響

:生産数当たり廃棄物排出量(t/百万個)
 プラスチック廃棄物排出量(t)

リスクと機会の管理に用いる目標と実績
指標 対象 目標 2024年度実績
基準年 目標年 目標 単年度目標 実績
気候変動関連 工場CO2排出量(t-CO2) 連結 2013年 2025 ▲25% (97,920t-CO2以下) 102,882t-CO2以下 93,756t-CO2
2030 ▲60% (52,224t-CO2以下)
単独 2013年 2025 ▲25% (42,320t-CO2以下) 43,495t-CO2以下 35,938t-CO2
2030 ▲60% (22,570t-CO2以下)
再工ネ率(%) 連結 2025 15%以上 12.8%以上 19.0%
2030 70%以上
輸送CO2排出量(t-CO2) 単独 2013年 2025 ▲12% (2,831t-CO2以下) 2,863t-CO2以下 2,829t-CO2
取水量(千㎥) 単独 2019年 2025 基準年実績以下 (551千㎥) 551千㎥ 488千㎥
自然闋連 廃棄物排出量 (t-百万個) 単独 2018年 2025 基準年実績以下 (0.37t/百万個以下) 0.37t/百万個以下 0.20t/百万個
プラスチック廃棄物量 (t) 単独 2018年 2025 基準年実績以下 (610t以下) 610t以下 339t
河川放流水の水質 単独 自主基準以下 (法規制値上乗せで設置) 自主基準以下 目標値超過なし
生物多樣性保全活動 単独 活動毎に設定 (対象外来種の生息面積等) 活動每に設定 各活動達成
温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)【TCFD推奨開示項目】
(t-CO2
2023年度 2024年度
SCOPE 1 東海理化自らによる直接排出 125,809 87,687
SCOPE 2 他社からの電気等の供給に伴う間接排出 93,404 78,210
SCOPE 3 事業活動に関連する他社の排出量 1,508,278 1,473,557
CATEGORY 1 購入した製品・サービス 1,324,065 1,267,551
CATEGORY 2 資本材 80,847 115,925
CATEGORY 3 SCOPE1,2に含まれない燃料 12,703 12,968
CATEGORY 4 輸送・配送(上流) 50,786 49,068
CATEGORY 5 事業から出る廃棄物 497 405
CATEGORY 6 社員の出張 2,743 3,327
CATEGORY 7 社員の通勤 22,897 10,603
CATEGORY 8 リース資産(上流) SCOPE1,2およびCATEGORY1に含まれる
CATEGORY 9 輸送・配送(下流) 非該当
CATEGORY 10 販売した製品の加工 6,802 6,738
CATEGORY 11 販売した製品の使用 36 44
CATEGORY 12 販売した製品の廃棄 6,902 6,928
CATEGORY 13 リース資産(下流) SCOPE1,2およびCATEGORY1に含まれる
CATEGORY 14 フランチャイズ 非該当
CATEGORY 15 投資 SCOPE1,2およびCATEGORY1,2に含まれる
合計 1,727,491 1,639,454