社会課題解決型商品・サービスの開発

東海理化は、これまで人とクルマをつなぐ製品つまり「モノ」の提供を通じ成長をしてきました。
今後も「人が手掛けないことこそやる」という創業者精神は引き継ぎつつ、社名の由来でもある物理、化学、電気、機械全ての分野の技術を高めていきます。さらに、横軸にあるような困りごとや社会課題を解決するサービスである「コト」に事業の幅を広げ、安全・安心で豊かなベターライフに貢献します。

車輪脱落事故ゼロへ 予兆検知システム「天護風雷」

近年、大型車両の車輪脱落事故は依然として後を絶たず、2023年度には日本国内だけでも142件の車輪脱落事故が発生しています。事故車両調査の結果、車輪脱着作業時に適切な点検・清掃、潤滑剤の塗布や劣化した部品の交換がされていない車両や、車輪脱着作業後の増し締めが実施されていない車両が散見されています※。
本システムは、当社の従来製品開発で培ったセンサー・通信技術を活かし、走行中に常時監視を行うことで、ナットの回転緩みの初期段階で異常を検知し、ドライバーへ車輪脱落の予兆を通知することができます。そのため、運転経験に頼ることなく、より正確に、且つ、容易に車輪脱落の予兆を把握することができ、ドライバーの負担軽減も期待できます。また、車種・型式・年式を跨いで既販車に搭載できるという部分は、今まで他社が手を出せなかった領域であり、「人が手掛けないことこそやる」という当社の創業者精神を引き継いでいます。
本システムは、現在国土交通省の「大型車の車輪 脱落事故防止(ハード対策)の実証調査」に採用されています。

※国土交通省物流・自動車局調べ:
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001765722.pdf

特定外来生物アルゼンチンアリの駆除剤「ぷりっとべイト」

ぷりっとベイトは巣に持ち帰らせて駆除することができるアルゼンチンアリ用の駆除エサ剤です。アルゼンチンアリは世界の侵略的外来種100種(国際自然保護連合)に指定され、高い攻撃性と異常な繁殖力により世界中で生態系を破壊している危険な特定外来種です。日本でも生息域を広げており、生物多様性が失われる一因となっています。
ぷりっとベイトはグリース状であり、グリースガンを使用することでこれまで塗布しづらかった川の護岸、樹木、ブロック塀、石垣など垂直な場所にも簡単に塗布が可能になります。また、自然環境への影響を考慮し、グリースの主成分であるオイルには動物性油脂、誘引剤には食品廃棄物を与えて育てたミズアブを採用しています。
当社は、自動車部品製造業として培ってきた知見/技術を活かして、特定外来種の駆除活動に苦労されている各行政・各地域の方々と連携し、自然と共生して生物多様性を守る取り組みに貢献してきます。

グリースガンで数m先へ飛ばして塗布する様子

発達支援デジタル教具「はぷるペン」

~子どもたち一人ひとりの「できる!」「わかった!」を引き出し、明るい未来に貢献~

近年の教育現場では、GIGAスクール構想により1人1台のタブレットが整備され、誰一人取り残さず、一人ひとりに合わせた学習が求められています。
「はぷるペン」は、車載HMI開発で培ったハプティクス技術を搭載したタッチペンで、主に小学校の特別支援学級や特別支援学校の子どもたちの学びをサポートできる商品です。国語や算数の基礎を学ぶアプリにおいて、子どもたちが触る、なぞる、書くなどのアクションに応じて、「はぷるペン」から様々な振動の反応があり、感覚遊びの延長で楽しくわかりやすい学習を提供します。
「はぷるペン」の開発にあたっては、パートナー企業の株式会社Gakkenと連携し、さくらんぼ教室の伊庭葉子先生に監修いただきました。また、何度も小学校を訪問し、先生方の意見を聞き取り、現場の課題を解決する商品にブラッシュアップしてきました。
導入いただいた学校からは、文字を書くことや読むことに苦手意識がある子どもが「はぷるペンを使いたい!」と自ら学習するようになったという嬉しい声をいただいています。学校現場の声を大切にし、子どもたちの明るい未来に貢献していきます。

社用車管理システム「Bqey(ビーキー)」

2022年より、社用車管理の課題を解決するシステム「Bqey」の提供を開始しました。
本システムは、社用車を利用するために必要な車両予約、アルコールチェック・運転日報・日常点検の記録、車の施錠・解錠などを、スマートフォンひとつで完結できるため、利用者の利便性が飛躍的に向上します。また、記録内容や免許証・車検などの有効期限情報をクラウド上で一元管理できるため、管理業務の工数低減も実現します。これにより、利用者と管理者の両者に業務効率化をもたらし、社用車管理のDX化を推進します。
長年にわたり自動車の鍵を製造してきた技術力を活かして開発された「デジタルキー」は、Bqeyの特長のひとつであり、スマートフォンによる車の施錠・解錠を可能にします。対面での鍵の受け渡しにかかる移動時間や手間を低減できるだけでなく、アルコールチェック機能と連携させることで、運転者のアルコールチェックの結果が基準値を超えていた場合、鍵を利用できないしくみを提供し、飲酒運転撲滅に貢献します。
Bqeyは、社用車の利用・管理における業務効率化やコンプライアンス強化をサポートし、飲酒運転による交通事故のない社会の実現をめざします。

無人レンタカーシステム「Uqey(ユーキー)」

2022年11月にデジタルキーを活用した無人レンタカーシステム「Uqey」を発表し、2023年1月沖縄を皮切りにサービス開始しました。
レンタカー事業者と利用者をつなぐマッチングアプリとして、車両検索・予約・免許証確認(本人確認)・貸渡証発行・デジタルキーでの施解錠・決済などの機能を提供します。
予約から返却・支払いまでスマホひとつで完結するため、店頭受付不要、24時間出発返却可能です(一部ステーション除く)。
2024年10月現在、レンタカー事業者20社、福岡・沖縄を中心に全国9都道府県、138か所にステーション開設しサービスを展開しています。
会員数20,000人、総利用件数5,000件を超え、これからも多くのお客さまとレンタカー事業者様にご利用頂きながら、皆さまの声を反映し、より使いやすく便利なサービスに進化させていきます。

車内置き去り防止支援システム

~悲しい事故を受けた超短納期での商品化~

2022年9月、幼稚園児通園バス置き去りという痛ましい事故の報道を受け、このような悲しい事故は二度と起こさないとの思いで、社内関係部署一丸となって開発を推進しました。国交省へのプレゼン、トヨタ・日産への売り込み、社外関係者とも密に連携し、これまでにないスピードで製品化し、2023年3月にリリースしました。量産品をベースに開発することで、短納期開発、車載品質の確保が可能になり、車両のイグニッション信号のみを使用し装置の起動・停止をすることで、既存車両への搭載を容易にしました。さらに声案内による車内警報で、初めて利用される方でも容易にわかる操作にしています。

自動車部品メーカー発のアップサイクルブランド「Think Scrap(シンクスクラップ)」

2020年に東海理化全社員に対して新規事業アイデアの社内公募を行いました。集まった1904件のアイデアを丁寧に絞り込み10テーマに層別。その中にシートベルト端材の活用でSDGsに貢献したいという意見が多く含まれていました。シートベルトの端材は毎日約300kg発生します。「端材を使って価値あるモノを作り出す」という発想がThink Scrap誕生のきっかけになりましたが、東海理化ではシートベルトに対して複雑な縫製作業ができず途方に暮れていたところ、東海理化の想いに共感していただいた株式会社まるかと出会い、複雑な縫製の商品製造の目途がつきました。また、シートベルト端材だけでは商品ラインアップに限りがあると思っていた時に「他業界のメーカーも生産工程で発生する端材の活用方法に悩まされていないか?」という発想からさまざまな会社に声をかけた結果、株式会社チームライクや泉株式会社、コーテック株式会社など様々な企業から端材の提供が得られることになりました。商品開発では当社オリジナル商品に加え地元の企業や学生とコラボレーションすることで、SDGsに貢献しています。

※Think Scrapは自動車やオートバイ、バス、電車といった移動手段(モビリティ)を活用し、新しい発見や好奇心を持ちながら都市生活を楽しむ人々をターゲットにした実用的でシンプルなデザインが特徴のアップサイクルブランドです。

シートベルトだけで作られた丈夫なポーチは地元愛知県内の縫製工場 株式会社まるかと製作
学生と開発したトートバッグは人気商品として定番化