成長戦略(モビリティ領域):セイフティビジネスセンター

乗員保護の多様性に対応し、CAE活用などで良品で低コストな製品を短期に創造しています

セイフティビジネスセンター長
冨永 康馬

シートベルト

不幸にして起きてしまう交通事故がゼロになるまで、シートベルトは世界中で必要とされる製品です。我々はひとりでも多くの命を救うための研究開発を行っています。
より安全なクルマ開発を促進するために、New Car Assessment Program(NCAP)によって新車の安全性能が評価される国際的な枠組みがあります。欧州、日本、アメリカ、中国などさまざまな地域で異なる基準で実施されていますが、得点の大きな割合を占めるのが衝突時の車室内乗員保護であり、シートベルトの性能が大きく影響します。年々進化するクルマをさらに安全にするために、NCAPの評価内容も変化を続けています。
今後変わっていく方向性としては多様性です。体格や年齢の異なる多様な乗員に加え、自動運転の開始に伴う乗車姿勢の変化や、低速から高速まで幅広い衝突形態など、さまざまな要素が組み合わさる状況においても、十分な保護が可能となるようシートベルトのみならず車両の安全確保に向けた取り組みを進めています。
このような変化をビジネスチャンスと捉え、NCAP変更情報を先取りして製品開発を先行実施し、お客さまへご提案しています。また、その開発はCAEを活用したバーチャルで行うとともに、部品金型、組立工程、組立設備などの各設計も同時に行うSE※を進めています。これにより、良品かつ低コストな製品を短期間で創出しています。
なお、車両の安全確保には、エアバッグやシートの性能も大きく影響するので、各メーカーとの共同開発を行いお客さまへ提案しています。

※サイマルテニアス・エンジニアリング:製品開発において、各関係部門が、開発初期段階から同時並行で連携し、品質・コスト・納期の最適化を図る開発手法

事業機会

  • 各国NCAPの変化
  • 拡張していくインド市場
  • 自動運転に伴うシートレイアウトの変化

競合企業

  • Autoliv
  • ZF LIFETEC
  • Joyson Safety Systems

強み

  • 市場変化を先取りした開発
  • シート、エアバッグメーカーとの協業
  • 部品製造~製品組付けまで一貫した内製工場をグローバルに展開

リスク

  • 市場変化に対応するための投資負担大

主な製品

  • シートベルト

2024年度連結売上高

シートベルト840億円

売上高推移

2024年度 840億円

中期経営計画「TRV2030」における成長戦略

10年後の姿 営業利益率7%:東海理化の収益の柱のひとつに!
(営業利益100億円、売上高1,400億円)
中期KPI 2030年:営業利益50億円、売上高1,100億円
  • NCAP先進の欧州を見据えた新製品開発を行い、順次世界展開をして推進
  • 自動組立化、工程連結、無人搬送など生産性向上による競争力強化を継続実施
  • 拡販成功をミニマム投資で対応し、収益向上を図る
  • トウカイリカミンダインディア株式会社の新工場での現地調達生産により拡販受注をめざす。また、インドでのR&D設置を推進

成長戦略の位置付け

成長戦略図

当社は1962年に2点式シートベルトの生産を開始して以来、高性能・高機能なシートベルトの開発を通じて、乗員保護性能の向上に貢献してきました。
シートベルトは、性能が乗員の生命に直結する製品であるため、万が一の事態においても確実に性能を発揮するには、品質の確保が不可欠です。
また、シートベルトは装着していただいて初めて性能を発揮するため、お客さまに不快な思いをさせないよう、柔らかく圧迫感の少ない製品づくりにも取り組んでいます。

目標達成への動き

セレクタブルフォースリミッター

乗員の体格や衝突速度に応じて、保護荷重を低荷重または高荷重に瞬時に変更

小柄乗員は低い荷重で優しく保護し、大柄乗員は高い荷重でしっかり保護。開発中製品は、このセレクタブルフォースリミッターを進化させ、より細かく荷重をコントロールすることでさらに多くの乗員を救うことができます。(2028年量産開始予定)
小柄乗員(49kg)から中柄乗員(78kg)の場合は低荷重フォースリミッター、大柄乗員(101kg)の場合は高荷重フォースリミッター