資本戦略:収益改革本部長メッセージ

企業価値を向上させるために、事業戦略と資本戦略の両輪で、ステークホルダーからご満足いただける経営をめざします。

収益改革本部長
篭橋 榮治

2024年度の振り返りと2025年度の見通し

2024年度は、主要なお客さまの生産台数減少などにより売上高は6,176億円と前年度に比べ59億円(0.9%)の減収となりました。一方で、円安の影響や原価改善に加え、前期の品質費用の影響がなくなったことにより、営業利益は354億円と66億円(23.0%)の増益となり、営業利益・当期純利益ともに過去最高となりました。
2025年度は、円高の影響やHMI製品の好調な受注に伴う開発費・未来創造投資負担に加えて、さらに米国関税影響を織り込み、前年度と比べて減収減益を予想しています。2025年度の収益見通しは、第1四半期決算発表時点で、売上高5,800億円、営業利益200億円を見込んでいます。

連結業績

)内は利益率

2023年度実績 2024年度実績 増減額 増減%
売上高 ☆6,235億円 6,176億円 ▲59億円 ▲0.9%
営業利益(営業利益率) 288億円
(4.6%)
☆354億円
(5.7%)
+66億円 23.0%
経常利益(経常利益率) ☆395億円
(6.3%)
344億円
(5.6%)
▲51億円 ▲12.9%
親会社株主に帰属する当期純利益(純利益率) 248億円
(4.0%)
☆278億円
(4.5%)
+30億円 11.9%
USDレート 143円 151円 +8円
EURレート 155円 162円 +7円

☆は過去最高

2025年度予想 増減額(前年度比) 増減%(前年度比)
売上高 5,800億円 ▲376億円 ▲6.1%
営業利益(営業利益率) 200億円
(3.4%)
▲154億円 ▲43.6%
経常利益(経常利益率) 200億円
(3.4%)
▲144億円 ▲42.0%
親会社株主に帰属する当期純利益(純利益率) 140億円
(2.4%)
▲138億円 ▲49.7%
USDレート 135円 ▲16円
EURレート 155円 ▲7円

TRV2030 目標

2025年5月に公表したTRV2030では「車載分野でしっかり稼ぐ」と「新規ビジネスの創出、付加価値の拡大」を軸に2030年度までの成果の具現化・刈り取りと収益力を維持・向上できる体質づくりを掲げ、KPIとしては2030年度において売上高7,000億円、営業利益率7%(営業利益490億円)、ROE10%としています。
目標達成に向け、(1) 既存の車載分野では、1円・1秒・1mmの原単位にこだわったSE活動の強化、DXを活用した開発から生産準備までのリードタイム圧縮、製品の共通化・種類削減による開発・設計・調達・製造の効率化などの活動を推進するとともに、WFO®、Hidden Light Effectなどの次世代製品の拡販も進め、より効率的で安定的な収益体質を構築しています。(2) 新領域・新規事業では、デジタルキーサービスやBAMBOO+®、自動運転遠隔監視など、社会課題に対応した新事業の創出、付加価値の拡大に取り組んでいます。これらの製品や事業を着実に収益につなげるために、新事業促進プラン(節目管理)による事業化支援とリソース管理・再配分を強力に推進していきます。

2030年度目標

  • 営業利益率:7%(490億円)
  • ROE:10%

1 車載分野でしっかり稼ぐ

想定以上の受注を背景に効率的に収益確保

  • 1円・1秒・1mmの原単位にこだわるSE活動と原価改革
  • 開発~生産準備リードタイム圧縮(DX活用)
  • 製品の共通化/種類削減、設備の共用化

2 新規ビジネスの創出、付加価値の拡大

種まきフェーズから刈り取りフェーズへ

  • 次年度KPI設定
  • 新事業促進プランによる節目管理
2030年度収益目標
2024年度実績 売上高6,176億円 営業利益354億円 営業利益率5.7% ROE8.8%/2025年度予想(中期経営計画TRV2030) 売上高5,800億円 営業利益200億円 営業利益率3.4% ROE4.4%/2030年度目標(中期経営計画TRV2030) 売上高7,000億円 営業利益490億円 営業利益率7.0% ROE10.0%

企業価値向上に向けた取り組み

1 PBR向上に向けた取り組み

PBR向上に向けて、事業戦略と資本戦略を両輪に、取り組みを進めていきます。具体的には下表の通り、中期取り組み事項を (1) ROEの向上 (2) 期待成長率の向上に分類し、2030年度の目標ROE10%を重点KPIとして、売上高純利益率、総資産回転率、財務レバレッジといった要素にも具体的な目標を設定、改善に取り組んでいます。
事業戦略では、徹底した効率化による収益性向上と次世代製品の拡販により既存事業の競争力を強化するとともに、新事業の早期事業化・収益化を強力に推進し、未来への投資とバランスを取りながら純利益を増大させることに注力します。
資本戦略においては、資本効率の向上を中心に、自己資本の圧縮といった資本コストを意識した経営を推進していきます。また、株主還元策を強化し、投資家との対話を通じて企業価値の持続的な向上につとめていきます。

PBR向上に向けた取り組み

2 キャッシュ・アロケーション、株主還元

2025~2027年度のキャッシュ・アロケーションは、2030年に向けた成長投資として、車載事業へ750億円以上、新規事業・未来創造投資へ200億円以上の投資を計画し、将来の収益源となる分野への資金配分を進めていきます。
また、3年間で550億円の株主還元を想定しており、安定的な配当の継続に加え、政策保有株式のさらなる縮減、自己株取得の検討など積極的な資本政策を行います。配当に関しては、2024年度に配当方針を見直し、安定的な配当の継続を基本に、「株主資本配当率(DOE)3%」を目安とし、「連結配当性向」、「配当利回り」と合わせ、収益状況や財務状況などを総合的に勘案して配当額を決定することにしました。これを踏まえた2025年度の配当は通期で95円、配当利回りでは4.3%を予想しており、これからも株主の皆さまに魅力を感じていただける水準を確保していきます。
これらの取り組みを通じて、成長と還元の両立を図りながら、企業価値の最大化をめざしていきます。今後とも、全てのステークホルダーの皆さまのご期待に応えられるよう、全社一丸で取り組んでいきます。

2025~2027年度キャッシュ・アロケーション(2030年に向けた成長投資)と株主還元の推移