ネイチャーポジティブ

国内外で進む化学物質の規制強化や法整備に対応していくとともに、製品開発と生産工程の両面で環境負荷物質の低減を進めています。また、生物多様性保全の活動や地域への貢献活動を通じて、自然と共生する社会の実現に向けた取り組みを展開しています。

TNFD提言の賛同

当社は、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)アダプターに登録し、情報開示を行っています。
TNFD提言で推奨されるシナリオ分析を導入し、特定したリスクと機会に対しては、対応を決めて環境取り組みプランに織り込み、確実且つ計画的に対応を進めています。

生物多様性保全に貢献する製品の開発

特定外来生物アルゼンチンアリの駆除剤「ぷりっとベイト」を開発し、行政の方への販売を開始しました。アルゼンチンアリは世界の侵略的外来種100種(国際自然保護連合)に指定され、高い攻撃性と異常な繁殖力により世界中で生態系を破壊している危険な特定外来生物です。日本でも生息地を広げており、生物多様性が失われる一因となっています。当社は、岐阜県可児市とアルゼンチンアリの防除に関する連携協定書を締結し、アルゼンチンアリの生息調査や防除作業に取り組んでおり、その防除作業において、「ぷりっとベイト」も活用し、アルゼンチンアリの生息分布を大幅に縮小させることに成功しました。
一般的に使用されている駆除エサ剤は粒体や半固体ペーストですが、ぷりっとベイトは、当社の自動車部品製造業として培ってきた知見・技術を活かしグリースを基材としているため、樹木、ブロック塀、石垣など垂直な場所にも塗布が可能で、風や水にも流されにくく、さまざまな場所への直接塗布が可能です。今後も、特定外来種の駆除活動に苦労されている各行政・各地域の方々と連携し、生物多様性を守る取り組みに貢献していきます。

駆除剤「ぷりっとベイト」
塗布した「ぷりっとベイト」に群がるアリ

地域との連携活動

「地域の自然を豊かにする」、「社会との輪を増やす・広げる」の環境ポリシーに基づき、自然・地域と共生する企業をめざし、地域に貢献する活動を継続的に実施しています。

オオキンケイギク駆除活動

本社工場を置く愛知県大口町では地域に生息する特定外来種「オオキンケイギク」の駆除活動を町や近隣企業と連携しながら実施しており、2023年度は合計1,030kgの駆除を行いました。オオキンケイギクは繁殖力が強いため、日本在来の植物を駆逐し、地域の生物多様性を脅かしているため、継続して駆除活動を行っています。

オオキンケイギク駆除活動

大口西小学校ビオトープ保全活動

大口西小学校に設置されたビオトープでは、上・中・下流を作り出すことで、ホタルやトンボ、フナなど種別ごとの生息域を作り出しています。今後、ホタルやトンボの住処にしていくため、外来種のザリガニ駆除や池の修繕など、維持管理の取り組みを小学校や地域住民と連携して行っています。24年5月には生態系の維持を目的として、大口町を流れる五条川で捕獲したオイカワ・カワムツ・モツゴなどをビオトープ内に放流しました。

大口西小学校ビオトープ保全活動

矢並湿地保全活動

豊田市や地域の保存会と連携して矢並湿地の保全活動を継続的に実施しています。
矢並湿地は、「東海丘陸湧水湿地群」の一つとして「ラムサール条約」の登録湿地に指定され、希少生物たちが生息する矢並湿地の富栄養化を防ぐため、保全活動を実施し、絶滅危惧種であるシラタマホシクサや、ミカワシオガマなどを守るために今後も活動を続けていきます。

矢並湿地保全活動

環境保全・生物多様性保全の推進

「地域の自然を豊かにする」、「社会との輪を増やす・広げる」の環境ポリシーに基づき、自然・地域と共生する企業をめざし、地域に貢献する活動を継続的に実施しています。

あいち生物多様性企業認証

外来種の駆除や、希少種の保全、生態系ネットワークの形成など、生物多様性に貢献する幅広い活動が認められ「あいち生物多様性企業認証」の優良認証を取得しました。今後さらに生態系ネットワークを広げていくため、自社敷地内で地域の目標種が生息できる環境の整備を進めていく予定です。

あいち生物多様性企業認証認証ロゴ

30by30アライアンスの登録

「30by30目標」とは、2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。
30by30目標達成に向け、今後日本として現状の保護地域の拡充とともに、民間などによって保全されてきたエリアを自然共生サイトとして認定する取り組みを進めるため、有志の企業・自治体・団体の方々による「生物多様性のための30by30アライアンス」が発足されています。
目標達成のためには、地域、企業そして一人ひとりの力を結集してオールジャパンで取り組む必要があり、東海理化もこの考えに賛同し、30by30アライアンスへ参加しています。

30by30アライアンスロゴ

本社工場食堂屋上ビオトープ

本社・本社工場では、地域の目標種となっているケリやカルガモの営巣をめざし、食堂棟の屋上にビオトープの整備を進めています。
2024年9月には、社内イベントを開催し、あぜ道の作成や芝とチガヤの苗植えを実施しました。今後も活動を推進し、地域の生物多様性へ貢献していきます。

海洋汚染の防止活動

海洋汚染問題の解決に貢献するため、使い捨てプラスチックの低減や海洋資源の持続可能に配慮した利用など、会社の中でできる取り組みを積極的に行っています。
また、啓発活動などを通じて社員の海洋汚染問題に対する理解を深めるとともに、自主的な行動に促すよう取り組んでいます。

コンタクトレンズ空ケース回収

HOYA株式会社 アイケアカンパニーが行う使い捨てコンタクトレンズ空ケース回収の取り組み、「アイシティ ecoプロジェクト」に参加しています。使い捨てプラスチックを確実に回収管理することで、廃プラによる海洋汚染防止につながります。各工場で活動への参加を呼びかけ、これまで約140㎏(空ケース約140,000個分)を回収しました。

回収したコンタクトレンズ空ケース

サステナブルシーフードの提供

食堂では、持続可能で環境に配慮した漁業で捕られた魚介類「サステナブルシーフード」を使用したメニューを提供しています。食事という毎日欠かすことのできない身近なところから「海の豊かさを守る」選択をしてもらうことで、SDGsの目標への貢献を生活の中で意識してもらい、エシカル消費などの自主的な行動へ促すよう取り組んでいます。

エビチリ天津飯
海老フライ&白身魚のフリット

オールトヨタ グリーンウェーブプロジェクトへの参画

人と自然が共生する未来づくりを目的に活動している「オールトヨタ グリーンウェーブプロジェクト」に参画しています。トヨタグループ各社と取り組みを共有し、協働で活動を行うことで、活動の輪を広げ、生物多様性の保全を効果的に進めています。

オールトヨタ グリーンウェーブプロジェクト

環境負荷物質の低減

人や環境へのリスクを低減していくため、生産工程で使用する化学物質の使用量や排出量を把握し、環境負荷の高いVOC(揮発性有機化合物)やPRTR法対象物質の低減を推進しています。

PRTR法対象物質排出・移動量(t)
PRTR法対象物質排出量
VOC(揮発性有機化合物)排出量