カーボンニュートラル
世界的に脱炭素化の動きが加速する中、東海理化グループでは、グローバル企業の責任として取り組みを一層強化し、製品での低CO2材料の採用や新材料開発、生産・輸送で使用するエネルギーの利用効率化など、CO2低減の活動に取り組んでいます。
TCFD提言の賛同
当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、情報開示を行っています。
TCFD提言で推奨されるシナリオ分析を導入し、特定したリスクと機会に対しては、対応を決めて中期指針「カーボンニュートラル戦略2030」、短期計画「環境取り組みプラン」に織り込み、確実且つ計画的に対応を進めています。
2050年カーボンニュートラルに向けた低減シナリオ
長期目標2050年カーボンニュートラル実現のマイルストーンとして、2030年▲60%を目標とする「カーボンニュートラル戦略2030」を策定し、温室効果ガス代替化、省エネの推進、再エネ・新エネの導入拡大、革新生産技術の開発を活動の軸に達成に向けたシナリオを描いています。このシナリオに沿って計画的に活動を進めていきます。
インターナルカーボンプライシング制度
CO2排出量の低減に貢献できる設備投資をより活発にするため、インターナルカーボンプライシング(ICP)※を導入しています。社内炭素価格を16,000[円/t-CO2]と設定し、CO2低減による経済効果を投資効果として評価することで、カーボンニュートラル戦略投資を促進しています。ICPの導入により、CO2排出量の経済的影響を見える化でき、適切な投資判断につながります。また、リスクおよび機会のシナリオ分析にも適用することで、気候変動が自社に及ぼす影響やその対策、戦略にかかる定量評価を行っています。
※社内炭素価格を設定し、CO2排出量を経済効果として算出することで、気候変動対策を促すしくみ
- 社内炭素価格
- 16,000(円/t-CO2)
- 制度対象
- カーボンニュートラル戦略投資、省エネ関連投資
- 適用制度
- 対象となる設備投資計画に伴うCO2排出量に対して社内炭素価格の適用により費用を算出し、投資判断の参考とする
再生可能エネルギーの導入拡大
敷地内への太陽光発電設備の導入に加え、新規追加性のあるオフサイトPPA※1を活用することで、実質的な再生可能エネルギーの導入拡大を進めています。2024年度には、国内外の10拠点に合計3,980kWの太陽光発電設備を導入しました。また、オフサイトVPPA※2による環境価値の調達により、再生可能エネルギーの使用率は19%まで向上し、2025年度の目標として掲げていた15%を前倒しで達成することができました。
- ※1 オフサイトPPA:敷地外に設置した専用の再生可能エネルギー電源から、電力を直接調達する方法。
- ※2 VPPA:再生可能エネルギー電源から発電された電力に付随する環境価値のみを調達する方法。
薄型太陽光パネル
通常のシリコン型太陽光パネルとは異なり、ガラスレス・フレームレスの薄型太陽光パネルを採用することで、従来は設置が困難であった耐荷重の少ない屋根や陸屋根への太陽光発電設備の設置工法の確立に向けた検証を進めています。2024年度には、陸屋根に接着工法を用いて60kWの薄型太陽光パネルを設置し、施工性、耐久性、発電量についての検証を実施しました。
森林J-クレジット
当社では、適切な森林管理によって創出された「森林J-クレジット」※を購入し、CO2低減に加えて、土砂災害の防止、地域経済への貢献、生物多様性の保全など、地域社会への多面的な貢献を行っています。購入した森林J-クレジットは、燃料転換が困難なエネルギー由来のCO2排出量のオフセットに活用しています。
※森林J-クレジット:森林経営、植林、再造林の3つの方法論を通じて、森林の成長によるCO2吸収量を算定したもの。
エネルギー使用量の低減
カーボンニュートラルの実現に向けて、当社ではエネルギー使用量の最小化をめざし、徹底したムダの排除、高効率機器への更新、燃料転換、工法の見直しや革新的な生産技術の開発など、さまざまな取り組みを行っています。新規設備の導入時には、社内で策定した省エネ指針に基づいた省エネ仕様を反映させ、コストだけでなくCO2排出量も考慮した投資判断を行っています。また、生産ラインごとのエネルギー使用量を「見える化」するシステムを導入し、社内イントラネットを通じて誰でもリアルタイムで使用状況を確認できる体制を整えています。これにより、異常時の即時対応や日々の使用量分析によるムダの特定、CO2排出量の多いホットスポットの低減対策の検討などに活用し、さらなるエネルギー使用量の低減につなげています。
塗装ブース用ウエットエア式空調機「WETCOMⅡ」の導入
塗装工程はCO2排出量が多いため、当社ではエネルギー使用量の削減に重点的に取り組んでいます。従来の塗装ブースでは温湿度の調整に蒸気を使用していましたが、蒸気配管におけるエネルギーロスの発生などの課題がありました。そこで、熱源に蒸気を使用しないウエットエア式空調機「WETCOMⅡ(ウエットコムツー)」※を導入し、エネルギー使用量を約70%削減することができました。
※アンデックス株式会社および中部電力ミライズ株式会社が開発した空調機
省エネ大賞受賞
2024年度省エネ大賞において、当社が取り組む「カーボンニュートラル実現に向けた大気式リフローはんだ付け工法の開発」が、省エネ事例部門にて「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。従来、車載電装品のはんだ付け工程では窒素を使用していましたが、当社では、同等のはんだ付け性能と長期信頼性を両立する窒素非使用のソルダーペーストを新たに開発※しました。これにより、従来工法と比較してエネルギー使用量を約14%低減することができました。
※本開発は千住金属工業株式会社との共同開発によるものです。


温室効果ガスの低減
マグネシウム鋳造工程では、溶解したマグネシウムが空気に触れて発火することを防ぐ防燃ガスにSF6※を使用しているため、温室効果の小さい代替ガスへの切替えを進めています。国内拠点の代替化は完了し、海外拠点の代替化を2030年完了の計画で進めています。
※SF6の地球温暖化係数は、CO2を基準として23,500倍と大きく、排出抑制対象である温室効果ガスの1つに指定されています。
仕入先さま省エネ支援
SCOPE3におけるCO2排出量を低減するため、サプライチェーン全体で取り組みを進めています。「カーボンニュートラル戦略2030」主要仕入先のCO2▲30%の達成に向け、主要仕入先さまに対して現地での省エネ提案や困りごと相談など省エネ支援を実施しています。
輸送CO2の低減
収容効率や積載率の向上につながる荷姿改善、効率的な輸送ルートへの見直しや輸送トラックの燃費向上などにより、輸送工程におけるCO2排出量の低減に取り組んでいます。
物流トラックにハイブリッド車を導入
CN実現に向けた物流戦略の1つとして、2030年までに、所有する物流トラックの50%をHV車などの環境対応車へ切替えていきます。現在2台のHVトラックを導入しており、物流トラックとして利用している。