カーボンニュートラル
世界的に脱炭素化の動きが加速する中、東海理化グループでは、グローバル企業の責任として取り組みを一層強化し、製品での低CO2材料の採用や新材料開発、生産・輸送で使用するエネルギーの利用効率化など、CO2低減の活動に取り組んでいます。
TCFD提言の賛同
当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、情報開示を行っています。
TCFD提言で推奨されるシナリオ分析を導入し、特定したリスクと機会に対しては、対応を決めて中期指針「カーボンニュートラル戦略2030」、短期計画「環境取り組みプラン」に織り込み、確実且つ計画的に対応を進めています。
SCOPE3の低減に貢献する低CO2材料の開発
地域で収集した竹チップを独自の技術で繊維化、51%以上高配合し樹脂を複合したバイオマス材料「BAMBOO+®」を開発しました。竹は成長が早く持続可能な利用ができ、成長時にCO2を吸収するため、化石資源由来のプラスチックと比べて、CO2発生量を大きく低減することができます。また、竹はその成長の早さにより管理が難しく、里山の荒廃や生態系に悪影響を与えることがありますが、BAMBOO+®プロジェクトでは、国内の竹を定期的に刈り取ることで竹林の保全や生態系の保全につながり、カーボンニュートラルのみならず、ネイチャーポジティブにも貢献しています。
2050年カーボンニュートラルに向けた低減シナリオ
SCOPE1,2において、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標とし、さまざまな低減活動を実施しています。
カーボンニュートラルの実現に向けて、マグネシウム鋳造工程で使用するSF6の代替化や、再生可能エネルギーの導入拡大、生産技術革新などによる目途付けを行い、そのマイルストーンとして「カーボンニュートラル戦略2030」を策定、2050年の長期目線での目標達成に向け活動しています。

インターナルカーボンプライシング制度の導入
CO2排出量の低減に貢献できる設備投資をより活発にするため、インターナルカーボンプライシング(ICP)※を導入しています。社内炭素価格を設定し、CO2低減による経済効果を投資効果として評価することで、カーボンニュートラル戦略投資を促進できます。ICPの導入により、CO2排出量の経済的影響が見える化でき、適切な投資判断に繋がります。
また、リスクおよび機会のシナリオ分析にも適用することで、気候変動が自社に及ぼす影響やその対策、戦略にかかる定量評価を行っています。
※社内炭素価格を設定し、CO2排出量を経済効果として算出することで、気候変動対策を促すしくみ
- 社内炭素価格
- 16,000(円/t-CO2)
- 制度対象
- カーボンニュートラル戦略投資、省エネ関連投資
- 適用制度
- 対象となる設備投資計画に伴うCO2排出量に対して社内炭素価格の適用により費用を算出し、投資判断の参考とする
再生可能エネルギーの導入
太陽光発電の導入拡大をグループ全体で進めています。2023年度は、国内子会社や海外の5拠点に3,600kWの太陽光発電を導入しました。新規追加性のある再生可能エネルギーの調達のためにオフサイトPPA※による導入も進めており、長野県、大阪府の2カ所に加えて、新たに愛知県弥富市に太陽光発電所が建設され、稼働を開始しています。これにより、2023年度の再エネ率14.1%まで向上しています。
※PPA:事業者が需要家の敷地外に太陽光発電所を設置し、需要家がその電気を買い取る方法

仕入先さまとの再生可能エネルギー共同調達
2023年度より発電を開始した愛知県弥富市のオフサイトPPA発電所では、東海理化協力会に加盟する仕入先さま12社、中部電力ミライズ株式会社と協定を結び、共同で電力を調達しています。
物流倉庫の広大な屋根スペースに設置された太陽光発電所(パネル出力:5,770kW)に由来する再生可能エネルギーの余剰電力を共同で調達することで、サプライチェーンが一体となって脱炭素化を推進し、再生可能エネルギーの新規追加性にも貢献します。

カーボンオフセット都市ガスの利用
本社・本社工場では、東邦ガスの「カーボンオフセット都市ガス(旧名称:カーボンニュートラル都市ガス)」の供給を受けています。天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2を、CO2クレジットにより相殺(カーボンオフセット)することで、CO2が発生しないとするカーボンオフセットLNG(液化天然ガス)を活用した都市ガスです。
2023年度の都市ガス使用量は1,156,548m³(オフセット量3,022t)であり、その全量がカーボンオフセット都市ガスであることがソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社によって証明されています。

エネルギー使用量の低減
カーボンニュートラルの達成に向けて、エネルギー使用量の最小化に取り組んでいます。
高効率機器の採用、蒸気レス、断熱・遮熱、非稼働停止、エアーレスなどの考え方をまとめた省エネ指針を策定しています。これに基づいて設備の仕様を決めることで、新規設備導入の段階から省エネが織り込まれるようにしています。過去に実施した事例や、連携企業と共有した事例については、事例をリスト化し、各部の進捗を社員全員が見えるようにすることで、横展会を確実にやりきるしくみにしています。
また、生産設備・ラインごとのエネルギー使用量を常時監視する「エネルギー見える化システム」の導入を進めています。各生産ラインの管理者がリアルタイムでエネルギー使用量を確認し、異常な使用のあった際の即時対応や、日々の使用量分析によるムダの洗い出しに活用しています。また、今後は生産管理のシステムとも連動し、製品1個当たりのエネルギー使用量を把握することで、LCAの精度向上にもつなげていく予定です。

日本初の小型部品型内塗装開発
株式会社精工技研と共同で、日本初の小型部品向け型内塗装技術を開発しました。
従来別々に行っていた「成形工程」「塗装工程」「乾燥工程」の各工程を、射出成型機を用いて金型内で一貫して行うことが可能になり、「塗装工程」やCO2が多く発生する「乾燥工程」を省略することが可能となります。
この技術を導入することにより、従来工法品と変わらない見栄えを確保したうえで、CO2排出量を約60%低減できます。2025年の実用化をめざし進めています。

リフローはんだ付け工法の開発
千住金属工業株式会社と共同で、カーボンニュートラル実現に向けた大気式リフローはんだ付け工法を開発しました。
はんだ付け性向上のため、窒素雰囲気下ではんだ付けを行っていましたが、窒素発生器により消費電力が増えることが課題となっていました。そこで、東海理化本社工場の87%を占めるリフローはんだ付け工程において、フラックスの活性力を強くしたソルダペーストを開発、従来同などのはんだ付け性を保持しながら、大気雰囲気でのはんだ付けが可能となりました。これにより、リフロー炉中のCO2を21.1%低減しました。

温室効果ガスの低減
マグネシウム鋳造工程では、溶解したマグネシウムが空気に触れて発火することを防ぐ防燃ガスにSF6※を使用しているため、温室効果の小さい代替ガスへの切替えを進めています。国内拠点の代替化は完了し、海外拠点の代替化を2030年完了の計画で進めています。
※SF6の地球温暖化係数は、CO2を基準として23,500倍と大きく、排出抑制対象である温室効果ガスの1つに指定されています。

仕入先さま省エネ支援
SCOPE3におけるCO2排出量を低減するため、サプライチェーン全体で取り組みを進めています。「カーボンニュートラル戦略2030」主要仕入先のCO2▲30%の達成に向け、主要仕入先さまに対して現地での省エネ提案や困りごと相談など省エネ支援を実施しています。

輸送CO2の低減
収容効率や積載率の向上につながる荷姿改善、効率的な輸送ルートへの見直しや輸送トラックの燃費向上などにより、輸送工程におけるCO2排出量の低減に取り組んでいます。

物流トラックにハイブリッド車を導入
CN実現に向けた物流戦略の1つとして、2030年までに、所有する物流トラックの50%をHV車などの環境対応車へ切替えていきます。現在2台のHVトラックを導入しており、物流トラックとして利用している。
