プロジェクトストーリー03

PROJECT STORY

PROJECT STORY03

隠れたノイズを打ち破れ。
大切なクルマを守る
スマートキーの開発。

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キーを身につけたまま、ドアノブに手を近づけるだけで解錠する。現代の“当たり前”の風景を実現しているのが、電子制御されたスマートキーです。携帯機と車が通信することで実現するこの仕組み。一見近年出始めたものに見えるこの製品は、元を辿れば実は20年以上前から世の中に発売されています。そして、この“国内初”を生み出したのは、鍵屋としての技術とノウハウを持っていた東海理化でした。電波の妨害や悪用から愛車を守り、利便性を実現するために常識に立ち向かった2人の社員にスポットをあてました。

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# PROFILE

開発 河合英樹

エレクトロニクスセンター
エレクトロニクス技術部
(現在は製品実験部に異動)

1996年入社。構成部品であるキーやアンテナなど部品の設計を担う。新たなデバイスメーカーを使用するにあたり、オランダやタイ、インドネシアなど海外工場へ出張し、現地調査にも携わった。
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# PROFILE

開発 前田亨

技術開発センター 開発部
(現在は電子制御システム
技術部に異動)

1994年入社。スマートキーにおけるシステム全体の構築に携わる。東海理化のノウハウを駆使し、テレビ塔や病院、工場などの公共施設から出るノイズによる被害軽減に全力を尽くした。
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01

始まりは1996年。
世界中の主婦を支えたい。

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前田

スマートキーが発想された大きな要因は、ドライバーに利便性を提供したいと思ったからでした。例えば、一般的な主婦。ショッピングをしたあと片手では小さなお子様を抱えて、もう片方の手では買い物袋を持っている。両手がふさがっている状況で、バッグの中から鍵を取り出すのは一苦労でした。

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河合

当時はそれが一般的なだったので、誰もが仕方ないと思っていたんですよね。だけど、もし鍵を出さずにドアの解錠ができたら…。シンプルなことですが、この機能をもった製品が生まれれば、世の中の主婦の大きな“味方”になると思いましたね。

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前田

そのような利便性に加えて、スマートキーはセキュリティの強化にも繋がることが期待されていました。その理由は、車に鍵穴が必要なくなるから。鍵穴がなくなれば、合鍵を作られたり、こじ開けられたりするリスクが減ります。このように、ドライバーにとっての利便性とセキュリティの強化が目的で、プロジェクトが立ち上がりました。

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河合

言葉にするとカンタンに聞こえてしまいますが、当時は前例のない製品だったので何もかもが手探り状態。常に大きな不安と戦っていました。その予感は的中してしまい(笑)、さまざまな課題と直面する毎日でしたね。

02

システムの強敵は街中のノイズ。
調査のため街を飛び回る日々。

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前田

電波信号を用いるスマートキーにとって、一番の敵はノイズです。ノイズによって誤作動を起こし、それが原因で動かなくなってしまうケースも。鍵を持っているのにクルマが動かない、ではお話になりません。まずは世の中にあるノイズを調査するために、街中を歩き回ることから始めました。

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河合

テレビ塔や病院など、ノイズが発生しやすいポイントを中心に調査を進めていました。実際に計測器をもって調査をしていたので、その姿はまるでゴーストバスターズのようでしたね(笑)。

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前田

あるとき、妨害の原因となるノイズが一般家庭で出たときは驚きましたね。実際に訪問すると、原因が子どものオモチャであると判明。また違うケースでは、地下に通っている高圧線が原因だったことも…。そういった原因をひとつひとつ自分の足を使って探り、どのような場所でもしっかりと機能するスマートキーの仕様を調整していきました。

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河合

私が最も苦労したのは、協力メーカーを選定することでした。当時の私は、キーやアンテナなど、主に構成部品の設計を担当していました。電子制御という、これまでにない機能を実装するため、これまでにない部品を調達する必要がありました。そのためにオランダやタイ、インドネシアなど、各地にある協力メーカーの生産工場へ視察に。

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前田

私は国内を飛び回り、河合さんは世界を飛び回る。忙しかったですが、新たなモノを生み出そうとする情熱だけで駆け回っていたと思います(笑)。

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河合

現地の工場では、品質のチェックから生産工程の改善アドバイスなど幅広く担当させていただきました。そんな当時の私は入社数年目の若手社員。今振り返って見ると、貴重な経験の連続だったと思います。

03

今までになかった製品を生み出す、
緊張感と醍醐味。

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前田

さまざまな課題を洗い出し、一つひとつ解決していきました。その結果、1998年に初号機が誕生。自分が携わった製品が世の中に出たことで、励みとモチベーションに繋がりましたね。一般的に開発した製品が、実際に世に出回ることは少ないので、嬉しさを実感したのを覚えています。

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河合

「やっと出た」。この想いが本音でしたね。先ほど述べた通り、生産体制の構築にも携わっていたので、ストレートにそう感じました。ですが、国内初のスマートキーだったので、嬉しさと不安が入り交じる複雑な心境だったのを覚えています。

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前田

東海理化は私が携わったスマートキーを始め、イモビキーやワイヤレス、タッチパッドなど、多くの新しい製品を生み出してきました。だからこそ、これからもクルマ業界を変えていく、そしてドライバーのカーライフを支えるような製品を生み出していきたいと思っています。

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河合

様々な領域に製品を展開している東海理化だからこそ、今後はそれぞれの分野が融合すれば、もっと面白いことができるのではないかと思っています。そして、当時のスマートキーのように非常識からスタートし、世の中の“当たり前”をつくっていく。そんな製品をこれからもつくっていきたいですね。

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